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【遺伝なんて関係ない】頭の良い子の育て方

頭の良さは遺伝するか?

まず始めに、家庭で知育を行う意義から整理しておきましょう。近頃話題になっている「行動遺伝学」です。いわゆる「生まれか、育ちか」というものです。
行動遺伝学では、研究に基づいて、「知能の60%は遺伝で説明できる」としています。しかし、ここには問題が2つあります。

一つは、この結果について、誤った解釈がなされて流布されていること。

そしてもう一つは、そもそも行動遺伝学の研究結果の信憑性が低く、反論の余地が多数あること(この反論の余地を認めている遺伝学者もいる)まあ平たく言えば、上記研究結果はツッコミどころ満載でマユツバもんだということ。


まずは一つ目から見ていきます。
よくある誤解は、「子どもは親の遺伝子を100%引き継いでいる」という誤解です。

これについては、行動遺伝学の日本における第一人者である、安藤寿康教授も明確に仰っています。『Newsweek』の取材での安藤教授の言葉をそのまま引用します。

「誤解されやすいのですが、遺伝が影響するといってもそれは親の特徴がそのまま子どもに受け継がれるということではありません。」

(参考:「知能が遺伝する」という事実に、私たちはどう向き合うべきか?(2017年1月5日(木)))
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/01/post-6659_1.php

ということで、そんなに簡単に子供の頭の良さは決まりません。

まあそもそも自分(親)のIQなんか今測ってもアテにならないし、低かったら何にもせず諦めるのか、高かったら何もしなくていいか、というと「NO」ですよね。

なので、遺伝の影響をヒントにすることは良いと思いますが、それですべてを決めるのはどんな立場からでも誤りです。

行動遺伝学とは

二つ目は、行動遺伝学の手法についてです。

ちょっとややこしく専門的な話になるので、読み飛ばしてもらって結構です。詳しくはこちらに書いてますので、ご興味あればご覧下さい。

行動遺伝学の研究方法は、一卵性双生児(遺伝子が全く同じ)と、二卵性双生児(遺伝子の半分が同じ)の類似性を比較して、遺伝による影響率(遺伝率)と、環境による影響率を調査したものです。遺伝率の定義は、「表現型の全分散(ばらつき)に占める遺伝分散(遺伝で説明できるばらつき)の割合」です。

ややこしいですね。ざっくり言うと、

「環境が同じで遺伝子が同じ双子と、環境は同じだが遺伝子が違う双子を比べたら、その差異に対する遺伝の影響がわかるのでは」という研究です。

では、なぜこの結果が信憑性が低いか、と言うと、

・相関係数から一般化しているが、統計学的に誤った結論になっている。上記赤字にした「ばらつき」という言葉からも分かる方もいらっしゃるかもしれませんが、遺伝率の解釈がおかしい。

・環境と遺伝の相互関係が無視されている。

・環境の影響を最小限にして遺伝の影響を調べる手法なのに、環境の影響が大きいという結論になっているものが多々あり、そもそも手法がやや破綻している。

特定の個人(例えば自分の子供)を育てるにあたって、有効なデータでは断じてない。

つまり、自分の子供がどんな遺伝を持ち、子供の成長が、遺伝にどれくらい左右されるか、環境にどれくらい左右されるか、については、行動遺伝学は何も明らかにしていません。

なので、子育てにおいて参考にしても全く意味がありません。

人間に適用するほどの有用なデータが得られるには、脳科学の更なる発展と合わせて、まだまだ時間がかかるでしょう。

(参考:『日本人の9割が知らない遺伝の真実』 安藤寿康 著 SB新書)


ということで、何が言いたいかというと、「知能レベルの60%は既に決まっているから、育て方などで後天的に変えられるのは残りの40%の部分だけだ」などという情報は、

思いっきり間違っている!ということです。

一方、「遺伝で全てが決まる」、「環境は知能などに全く影響がない」という研究はというと、一つもありません。

つまり、我々親が重視すべきは、環境を適切に整えてあげることです。

人間の脳は3歳までに80%完成する?

次は、主に脳科学の観点から、特に幼児期の教育の重要性を考えてみましょう。

「人間の脳は3歳までに80%、6歳までに90%、12歳まででほぼ100%完成する」と言われます。

一方で、「子どもの時に知識を色々と詰め込んでも、すぐに忘れるから結局ほとんど意味がない」という意見も聞きます。

実際どうなのでしょうか。

前者の脳に関しての説は、脳科学分野の様々な研究から、現在はもはや常識になっています。

例えば、「ジャクソンとスキャモンの発育曲線」と「ベイレイの知能発達曲線」がよく引き合いに出されます。

(右)ジャクソンとスキャモンの発育曲線  (左)ベイレイの知能発達曲線 


少し見難いかもしれまえせんが、右図の「神経系」という曲線と、左図は酷似しています。そして、いずれも、年齢が1ケタのシングルエイジの前半時期に非常に良く発達し、その後は成長スピードが激減していくことがわかります。

他には、人間の脳の重量も、この2つの曲線とほぼ同じような成長の仕方をします。即ち、大人の脳重量が約1,350~1,400gで、新生児のそれが約360gであるため大人になるまでで約1,000gが増加しますが、6歳までで8割程度が作られる(つまり脳重量が1,100~1,150g程度になる)のです。

脳には、極端にざっくり言うと、ニューロン(脳細胞)とシナプス(脳細胞同士をつなぐもの)があります。シナプスの発達により、バラバラのニューロン同士が繋がり、「知能」が発達します。例えば、ボールを投げる、言語を覚える・発する、音を再現するなどができるようになります。そして、この繋がりを強化することで、早く的確にレベルの高い同じ動作ができるようになります。

ニューロンは基本的には増えません。しかし、シナプスは幼少期に爆発的に増加します。
例を挙げると、6~80歳の約75年間のシナプス成長率よりも、5~6歳の1年間のシナプス成長率の方が遙かに大きい」のです。
そして、6歳の子どもは、既に大人の倍以上のシナプスを有しています

つまり、この時期に色々なことを経験させたり、同じことを練習させたりすることで、生まれ持った才能・可能性を怒涛の如く「引き出す」ことができます

子どもは、というか人は、生まれ持って色々な才能をその小さい体に宿しています。
その才能をいかに余すところなく引き出せるか、というのが、教育というものだと思いますし、親の大きな役目だと思います。







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